内鉄形は鉄心の近くに低圧巻線を、その外側に高圧巻線を配置したものである。外鉄形は低圧巻線と高圧巻線を交互に重ねて、これを鉄心を巻くように配置したもので鉄心が巻線を機械的に保護する役目をする。
内鉄形、外鉄形の鉄心は厚さ0.3〜0.5〔mm〕のけい素鋼板を短さく形に切ったものを積み重ねて作る場合が多くこのような構造のものを積み鉄心又は成層鉄心といっている。成層にする理由は鉄心内に生じようとする、うず電流損を小さくするためである。
巻鉄心形は帯状のけい素鋼板を、ロール状に巻いたもので磁束の通る方向に対して積み鉄心のようにすき間ができないこと及び磁束か通りやすいように、内部の結晶を帯の長さの方向へ揃えてある方向性けい素鋼板と呼ばれているものが用いられているため小さな鉄心で多くの磁束を効率よく通すことができ、したがって、変圧器を小形、軽量化することができる特長がある。
(4)冷却方法による分類
変圧器は鉄損と銅損のため温度が上昇するが回転部分がないもので熱が発散しにくい。陸上の大形変圧器には水冷のものがあるが船舶では次の冷却方式のものが用いられる。〔JG 205条参照〕
乾式は(3)に示した鉄心と巻線部分(以下本体という。)を配電盤内に収めることもあるが一般には単独の箱に収めたものが用いられる。したがって、本体の冷却は箱内の空気により行われる。
油入は、油入の箱内に本体を収めたもので本体の冷却は油により行われる。
油は巻線の絶縁を保つと同時に冷却をよくする。したがって、変圧器油は絶縁耐力が大きな、しかも比熱が大きく冷却効果のよいもの(一般に鉱油)が用いられる。
以上のように油入変圧器は乾式よりも冷却効果がよいが、次のような欠点があるので船舶では主として乾式自冷式が用いられる。
(a)油に不純物、特に水分が混入すると絶縁耐力が極端に下がるので絶対に外気にさらしてはならないこと。
(b)船の動揺、傾斜で油の漏れるおそれがある。
前ページ 目次へ 次ページ
|
|